2011年6月8日水曜日

「最悪」って何だ?

 このところの福島原発事故関連ニュースで耳にすることが…
 
  ・「~~~~~という”最悪のケース”です。」
  ・「~~~~~となったら”最悪の状態”です。」

との”最悪”の連発でした。これに近い表現として”~となったらもう終わりです。”なんてのもありました。近頃になって、メルトダウンしていたことが明らかにされ、ニュースで指摘されていた「最悪」の状態に陥ったわけですが、被災された方が亡くなったわけでもないし、生きることを諦めたわけでもありません。希望を見失ったわけでもないでしょう。もしも、戦争でも起きればもっと深刻な状況に陥ることは間違いありません。では、専門家と思われる方々が表現していた”最悪”とは一体なんだったのか?

 小生が「最悪」という表現から聞き取ったのは、
 
  ・この状況に陥ったら、それ以上の深刻な状況は考えたくはない
  ・この状況に陥ったら、対策などを考えたくない
  ・この状況に陥ったら、その状況を人に語ることはできない

のどれかではないだろうか? どれが正しいかはわからないが、いずれも「思考停止」を示すものである。思考停止させたら、その状況を想定した対策など考えることができるはずがない。そう言えば、原発事故が起きた当初は、”想定外”と連発されたが、”最悪のケース”は思考停止させるのだから、想定できなかったのだ。そう言えば、IAEAから、「これは想定外ではなく、想定不足」と指摘されたそうだ。なぜ、日本人は”最悪”という言葉を使って、思考を停止させようとしたがるのか。専門家ですら、意識的に”最悪”という言葉を使いたがっているように感じた。このような思考回路は、外国人ではまず見られない。日本人独特のものである。

 その理由は思うに「言霊信仰」に原因があるのではないだろうか? 日本人は、昔から深刻な状況を口にするとそれが実現してしまうかもしれない、だからその状況は口にしてはいけなかったのだ。これが言霊信仰である。別に言霊信仰を批判するつもりはないが、専門家やマスコミ等でも無意識のうちに言霊信仰の影響を受けていると思われる人が多数、見受けられるのである。これは、リスク管理などできるわけがない。
 
 日本の原子力技術は大変優秀らしい。東京電力にも多くの才能が集まっていると聞くが、”最悪”と言う言葉を使って思考回路を停止させるような奴に原発を扱う資格はない。さっさと辞めてもらいたい。
 

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